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Wolf Creek 2

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前作 から8年ぶり、とうとうあのおじさんが帰ってきてくれた。今回もあのベタなシモネタ、低能ネタジョークをふりまきながら、筋金入りの悪趣味っぷりをこれでもかと見せつけてくれる。 今話題のポリコレなんのその、これを作った人たちも「これはオレたちじゃなくて、このおじさんが元々こうなんだから仕方ないじゃんよ」と完全に開き直っている。そのとたんこちらも「お前が責任持つなら」と、すっかり気が楽に。その後は、どんなに不謹慎な言葉も、ひどい所業も心の底から痛快に。まあそれがホラーというもの。 いつの間にかすっかり我を忘れて「ホントにこんなヤツいたりして」「いや、いるよ絶対」「うへー」と、一体それに近寄りたいのか、それとも遠ざかりたいのか、どちらかわからないような感覚に支配され続ける。とにかく、自分の頭で考えられる限りの正義と公正さを持って、この社会に挑むおじさんの姿が感動的。オーストラリアのアウトバックを背景に、字幕をつけるとしたら「~だっぺ」と、茨城辺りの言葉になるのか、その組み合わせがとにかく様になりすぎている。 少し前に、盲目の老人の家に忍びこんでみたら、その老人が実は訓練された元軍人で・・・、 というの があったけれど、あのおじさんには簡単には出会えない感じだが、こちらのおじさんは、ずっと身近。例えば、パンクして路肩でタイヤ交換をしていたら、必ず車を止めて助けてくれる、そんな人だ。普通に家族もいれば、親しい友達もいる、大切にしているものもあれば、毎年クリスマスを楽しみにしていたりするのだろう。 ただ、そんな人がどんな信条を持って生きているのか。実際は誰もがそうで、そう考えていても実行しなかったり、わからないように行動していたり、また自分がその対象ではないために、相手がそういういう人だということを知らないだけなのだ。 とにかくもう、つかみからして最高にサエてる。内容的には、前作同様ヒッチハイクの若者達を餌食にと思いきや(それはそうなんだけど)、実際は、大迫力のカーチェイスとオーストラリア歴史クイズの2本柱で成り立っている。カーチェイスのシーンは、 マッドマックスの1作目 にかなり敬意を払っているとみえて、あれを忠実に再現しようとしていた。おかげで、子供の頃衝撃を受けたあの爆走シーンの記憶を今風のシャープな映像で塗り替えることができた。 これは(例によって)実際にあった 有名な...

The Guiter

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女性向けだとか男性向けだとかいわれる映画は、実際本当にその様に出来ていて、特にどちらともない気分で見ると、ああこんなところが男性向けなのかなとか、この感じが女性に受けるのかもとか、だんだんとそれがじゃまっけになってくるものだけど、この映画については、女性だったらたぶんもっと楽しめたことだろうと、女性が羨ましくなった。 だからといって、男性だとつまらんのかということは全くなくて、ある意味かなり男の子向けでもあるのだけど。ただ、この映画に含まれている、大切なあるエッセンスを得ることができない。それを楽しむにはやはり、この主人公と同じ性別じゃないとダメ。とにかく、そこにあるとわかっているにもかかわらず、完全に体験できないというのが悔しかった。 話の最初からこちらに何も考えさせないような、程よいスピードとテンポを持っていて、ある次元のリアリティの中に、カリッとしたユーモアが最小限にセンスよくちりばめられている。緊張もするし、ロマンスもあって、シリアスでコミカル、そして、その全てが、安心さえしてしまうようなゆったりとしたスピードの中でまばらに展開してゆく。まるで、現実感のある夢の様な感じ。 今までは、その映画を見ているときに連想したことをここで書いてきたと思うのだけど、今回は不思議と何も考えずに、なんだかとてもいい感じに時間を過ごせた。ということで、特にベジタリアンの女性におすすめ。 [The Guitar]

Slither

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80年代のホラーブームが過ぎてから、何か新しい刺激を、新しい刺激をと、次から次に裏をかいた様な筋書きのホラーやスリラーばかりを見ているうちに、いつの間にか何十年も経った。そして、とうとうそれにも飽きちゃったという頃、すっかり忘れていた「あのパターン」に再会することができて感激。 しかもそれがあの頃に作られたものではなくて、全くの新作というのだからもう大変。画面が明るくなったとたんに、私たちの住む地球に「何か」が向かっているシーン・・・といったら、好きな人ならここですでに完全に盛り上がっているはず。しかも、その期待を最後まで裏切らない。 もちろんその「何か」は、森に落っこちて、ああなって、こうなって・・・となるのだけど、出来事の展開一つ一つ、配役、演技、映像の雰囲気まで、本当に細部の細部まで「あの頃の再現」になっている。で、それが当時よりもいい映像技術が使ってあるわけ。でも、独特の安っぽさは残してあるという、その芸の細かさがこの映画のスゴいところ。 あれは、私の町にレンタルビデオ店ができはじめて、最初1000円もしたレンタル料がやっと500円位になってきた頃でした。町も友達も、弟妹も、父も母も、そして猫たちも、みんな自分のそばに居たあの頃、部屋に14インチのテレビとビデオデッキを持ち込んでこんな映画ばかり見ていた気がします。  [Slither] [Night of the Comet] [Night of the Creeps] [The Blob] [The Thing]

The Wizard of Oz

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うちの子供にもそろそろ映画なんかどうかなと思って、手始めにこれを選んでみた。自分の記憶ではてっきり、夢が膨らむ様な、全くもって素敵な、本当に楽しげな物語だと思ってたのに、実際はアート系トリップものだったのに驚いた。しかも、フワフワと平和なナチュラル系のハイではなくて、まったくのケミカル系バッドトリップ。 隣りのおばさんは飼い犬を殺しにくるわ、竜巻で家が吹き飛ばされるわ、リンゴをもげばその樹が怒っておっかけてくるわ、もう子供じゃなくても恐ろしい。そして全編を通して繰り広げられる、あの狂った人々の極色彩の饗宴ときたら、影から ピーターフォンダがウロウロ でてきてもぜんぜん不思議じゃない。や、実際はドロシー自身がそうなのだ。 とにかく、その舞台が不思議の国での出来事だろうが、町のコインランドリーでの出来事だろうが全く構わなくなって、子供の顔色を見ながら、どうにか時間を過ごしたのだけど、こいつが大人になってから、まだ小さな自分の子供に見せてしまうのではなかろうかと心配になった。 ということで、ここでこの映画に対して「16歳以下観覧禁止」、または「暴力的につき要保護者の許可」を宣言したい。 [The Wizard of Oz] [Psych-Out] [The Trip]

Paris Je T'Aime

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「パリ、ジュテーム」とかいうから、きっとすてきなモヤモヤ系フランス映画なんだろうと思ってとても楽しみにしていたのに。 モヤモヤ系フランス映画というのは、最初から最後までかなり勝手なセンスで押し切られてしまう種類の映画で、フランス映画というとそういうものがウケるのか、今まで「フランス映画だ」って見せられたものにはこういうのものが多い気がする。とにかく、一言もの申す!という寸前の状態のまま「いや、まてよ・・・」と、とうとう最後までその、ものを申せぬままに丸め込まれてしまう、というこのモヤモヤした感覚がとても好きだ。 パリを舞台にした短編集なのだけど、これを見ていたら、昔色んなレコードから好きな曲だけを集めた「お気に入りテープ」作りに凝ったことを思い出した。 お気に入りテープは、あるテーマが浮かんでからそれを何日か寝かせておくと、頭の中で自然と曲がだんだんと集まってくるので、その瞬間に一気にダビングをすると、とても気に入ったものができる。だけど、最初に2〜3曲はっきりとした選曲があって、「こいつはカッコいいのができるぞ」と、日曜日の午前中にわざわざ時間を割いて作ったりするときは、ほとんどいい物はできないから不思議。 最初にあまり狙いがハッキリとしていると、最初の3〜5曲目でぴたりとアイデアが止まってしまい、それから先は、せっかく始めたというのもあって、そのまま「ここで盛り上げて」「ここでスカして」「ここでおとす」とか考えながら、テープの終わりまで60分〜90分をそのテーマに合わせて作らなくてはいけなくなる。 で、そうしてでき上がったテープは、だいたい最初の数曲は、キマリすぎるくらいキマッているのに、そこからはメリハリがなく、ただ漫然と、しかもしつこく、そのテーマが繰り返されるような物になってしまって、人にあげても車でかけても評判が悪い。 さて、この映画、最初にその趣向がわかった時から、何編か目までは本当にカッコいいのだけれど、それからだんだんと、まさにそんな感じがしてくる。そして、その辺でまた別の趣向があることがわかってくる。それで、最後には憧れのパリスがハリウッドに犯されてしまったような残念さが残った。 でも、ただこれはジャケット買いをしたCDが思った通りではなかったというだけの話で、最初からそのつもりでみていれば、オーケーどころか、お気に入りの...

Ravenous

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殺人、強盗、拉致、通り魔、親殺し、子殺し、自爆・・・と、聞くだけで身の毛がよだつような犯罪も、最近すっかり市民権を得てしまったので、このどれかをテーマに物語を描くにはどうもありふれすぎてしまうし、なによりもそんなものは、変に現実味がありすぎてやりきれない気分になってくるにきまっている。 さあ、そこで最後の砦になるのが食人かもしれない。これなら、あまり報じられていはいないし、とにかくなんでもありというこの世の中で、スレスレで想像の向こう側。なんといっても「食」という全くの日常と、「人を」というタブーがいっしょくたになった妙な気分にさせるのもいい。 とにかく、自分の中でそれが気持ちの悪い事なのか、ハラハラドキドキするような興味のある事なのか、どうもハッキリしない。その証拠に「食人」と聞いただけでは、犯罪なのかそうでないのか、そうなる経緯をちゃんと聞くまではすぐには答えられないというのもおかしな感じだ。 それはともあれ、劇中にダジャレとして出てくる「生きる為に食え、食う為に生きるな」という台詞がとても気に入った。それは、現実でも多くの人が普通に葛藤しているようなことだと思うのだけれど、それと、この物語の登場人物達にとっての意味が、もう少しでつながり合いそうな知恵の輪の様でとても面白い。 南北戦争の時代(?)の、山間の閉ざされた砦という時代背景と舞台に、先住民族の言い伝えとカニバリズムという組み合わせが、なかなか新しいおどろおどろしいさを醸し出している。 でもこれ、分類はホラーとなっているけれど、本当はちょっと前にはやったキツいブラックジョーク系の若者映画みたいなノリ。種類は全然違うけれど、こちらもかかる音楽が格好いい。あ、出てる人が同じだからか。 [Ravenous] [Trainspotting]

Nathalie...

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字幕の切り替わりの早さというのは、一体その翻訳が原因なのか、それとも、その言語が短い時間でたくさんのことを伝えることができるものだからなのか。わからないけれど、とにかく中国語の映画は、字幕の切り替わりが早くて読むのが大変なことが多い。 きっと、発音しているのは漢字だけなのに、そこにひらがなを足して文字にするから、元々よりも量として増えているのだ。さらに、中国語の映画の英語の字幕などは、それよりもかなり横長になるはず. さてこちらは、フランス語の映画。字幕が英語だったので、いちいち読むのに時間がかかったというのもあるけれど、字幕が問題になるポイントはこの映画の性質にある。 メインの筋はというと、自分の夫を誘うように売春婦に頼んだ奥さんが、その売春婦とだんなとのそれからの出来事をいちいち聞く、というもの。日本では、いつも通り「こちらに何か変な誤解させて見せてしまおう」と、ずいぶん官能的な映画の分類になっているけど、例によって実際はそうでもない。 で、その女のする話というのが、やはりほとんど情事についてだったりするのだけれど、これが本当に話だけで、絶対に回想シーンなんかにはならない。ということで、フランス語の解らない人は、そのエロ話を全て文字で読むことになるというわけ。 こうして考えると、日常生活でもコミュニケーションというのは言葉と同じくらいか、それ以上の割合で表情が大切であることがわかる。込み入った内容の映画など、話の流れから振り落とされまいとして、一生懸命に字幕を追うと、表情で伝えるような本当の見せ場みたいなところを見逃してしまうことがあるから大変。 ということで、この映画でもここで字幕の切り替わりの早さが問題になってくるのだけれど、しばらく見ていたら、その2人が顔をあわす時に話されることはだいたいそんなことで、全体を見失う程のことでは無い、ということに気がついたので、文字の固まりの最初と真ん中と最後位をチョイチョイっと読んで軽く流すことにした。 ところが、話のオチが見えてきた頃、「もしや」と思った時にはもう後の祭り。実は、その部分こそが、この映画の最大の見どころで、その都度、フムフムと読まなくては(聞かなくては)いけないというのがこの映画の流儀だったのだ。 ということで、画面では2人の女性がなにやら深刻そうな話をしている様子、その下で誰かが翻訳したエロ話がパッパと...

Lemming

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「なるほど」と感心した映画について、他の人に話や文字で詳しく伝えようとしても、どうしても「ある所に男と女が居て、かくかくしかじか・・・」で、結局「面白かった」とか、「そうでもなかった」とか、最後にはただその話の筋だけになってしまう。映像を加えて初めてわかる「あ、なるほど」という感覚を伝えるのはかなり難しい。 そして、そんな話になった時の聞き手はといえば、面白くも何ともないから「じゃあ今度見てみるよ」くらいの反応をするのがやっとなどころか、一生懸命その感動の山場を伝えようとしている相手を目の前に、一体どんな顔をして話を聞けばいいのかすら迷ってしまう始末。 とにかく、映像で語られる物語は「こうなって、こうなって、こうなる」と、順番になっているよりも、「これと、これと、これ」という風に、その組み合わせと並べ方によって、最後に自分でも思ってもみないような変な感じがするという、自分の中で起こる新しい現象の発見が面白い。 そしてこの映画も、その面白さの部分を抜きにして説明してしまうと、どうしても、吹き出してしまうようなくだらなげな話、となってしまうのが実にもどかしい。 フランス映画独特の、実際はちょっとクサくてちょっとダサいのに「本当のカッコよさとはこういうものなのだ」という、妙に強気に開き直った格好のよさ(褒めている)をベースに、これまたフランス風即席へっぽこ現代アート的な組み合わせがおしゃれな、日常の陰に潜む恐怖を描いたスリラー&ホラー。 ...と、最後にこう書いてしまっては、もう元も子もないけど。 とにかく、この先どうなってしまうのか、この話は本当に今日中に終わるのかと、やきもきさせてくれる一方で、心のどこかで「別に、いつ消してもいいかな」と思える軽さが良い。 あと、この主人公の男性がうろたえる様子を見ていたら、この人が昔同じようにうろたえていた作品を思い出し、調べてみると当たっていたのでとても嬉しかった。 [Lemming] [Harry, Un Ami Qui Vous Veut Du Bien]

Kamataki

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エンディングの曲を聴く為にだけでも、全編を見る価値有り。途中どんなに響いてこなくても、それまで見ないと損。いや、ひょっとしたら何かを見つけられるかも。  舞台はたぬきの焼き物の信楽、事情あってそこの窯元で働くことになった西洋人の若者の視点で、日本の文化や風情みたいなものを描いている。でも日本を描いた外国映画だからって、 スーパー無国籍ゲイシャもの というわけではなくて、日本文化に対する知識と敬意にあふれた、ちゃんとした現代劇。  全体を包むこの「なんかな」という、ちょっと腰抜けな感じがいつもカナダ映画に感じる独特な感覚にピッタリだったので、「これ、これ、この感じはなんだろう」と思いながら最後まで見てしまった。それにしても、どこの国の映画だか知らずに見ているのに、だんだんとその感じがしてきて、「もしや」となるから不思議。  で、もしもこれを見た外国人に、「日本人からみてどうだった?」と聞かれたとしたら、日本人の私としてはもちろん、「愛のコリーダは、見ましたか?」と、話をはぐらかすしか無い。  [Kamataki] [愛のコリーダ]

Mysterious Skin

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今まで自分が生きてきた時間の中に、戦争みたいな自分の力だけではちょっと避けることが無理で、さらにそれが一生に影響する、というような悲劇がなくて本当によかったと思うことがある。 それは、病気や事故、また何らかの事件に巻き込まれるということでも同じなのだけど、戦争となるとただ其処に生まれてきた、というタイミング的な要素が強くて、本人には何の責任もないのに、それに当ったり当らなかったりするので、たまたまその時代に当らなくて本当によかったな、と思うわけ。  この映画はぜんぜん戦争の話じゃないのだけど、人生全般に影響をして、逆らおうと思ってもそこから抜け出せず、非常に心地悪く感じながらも、常にそれが身の回りを取り巻き、とにかくそれと一緒に生きていかなくてはならないという話。 で、それが事件や事故とどう違うかというと、やっぱり自分には何の非もなく、ただその時にそこに居たのがどうやら原因だというところと、とにかく、見た目が病人でもけが人でもない。外からは普通に見えるのに、その体の中には非日常的な暗闇をたっぷりと蓄えている、という感じに耐えられないような孤独さがある。 この主人公が持ちつづけている問題、というのは、もちろんこれとそっくりそのままではとてもやっていけないけれど、似たような感じのどん詰まり感というのは、どこか解らないでもない、かもしれない。って、やっぱり想像もつかない。  幼児虐待とゲイ、そして宇宙人によるアブダクション(誘拐)と、ぎょっととするような要素の組み合わせがスゴすぎる。 ところで、こうしてキーワードだけを並べてみると、ちょっと楽しげなB級ホラーっぽくないでもないけど、全くホラーでもSFでもありません。   [Mysterious Skin] [3rd Rock from the Sun]