Kammerflimmern

表面的なストーリーとノリは、かの巨匠のたぶんあまり流行らなかった作品そのままだけど、こちらはもっと若さの様な不安定さがあり、ときめいたり切なかったりして、ずっと身近に感じる。それでいて、軽すぎないテーマが全体を支配していて、それが実に心地よくハマっていた。音楽に例えると、あちらがクラッシュをかけて救急車を突っ走らせるのだとしたら、こちらはニューオーダーで、という感じ。 

主人公のこれまでの境遇と、現在の環境とが底の方でガッチリと組み合っていて、そこに日常の色々な出来事が関わってくるというのが大きな構造なのだけれど、とにかく、それについての向き合い方や解決の仕方に現実味があって良かった。救命作業が細かく描写してあって、その見慣れない器具や手順をゆっくりと見せられるので、とても緊張する。 そんな現実的な表現と同時に、幻想的な雰囲気も持ち合わせているのだけど、とにかく「あちら側」に行ってしまう直前で「こちら側」に踏みとどまってくれて、結局いつも「喜び」や「落胆」「ときめき」「切なさ」という、基本的な感情に立ち返ってくれる感じがいい。で、その雰囲気こそが主人公の個性ということなのだと思う。 とにかく、サイケデリックな世界に行ってしまうこともないし、日常的に幻を見ることもない、走り続けることもあれば、止ることもあり、今日が来て、明日が来る、という感じがなかなか好きだった。

 まるで病室のような白っぽい雰囲気のある画面。あと、所々のミュージックビデオの様なこ洒落たキメカットは、もうきょうびの映画には欠かせない。

 [Kammerflimmern (Off Beat)][Bringing Out The Dead]

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