Lemming
「なるほど」と感心した映画について、他の人に話や文字で詳しく伝えようとしても、どうしても「ある所に男と女が居て、かくかくしかじか・・・」で、結局「面白かった」とか、「そうでもなかった」とか、最後にはただその話の筋だけになってしまう。映像を加えて初めてわかる「あ、なるほど」という感覚を伝えるのはかなり難しい。 そして、そんな話になった時の聞き手はといえば、面白くも何ともないから「じゃあ今度見てみるよ」くらいの反応をするのがやっとなどころか、一生懸命その感動の山場を伝えようとしている相手を目の前に、一体どんな顔をして話を聞けばいいのかすら迷ってしまう始末。 とにかく、映像で語られる物語は「こうなって、こうなって、こうなる」と、順番になっているよりも、「これと、これと、これ」という風に、その組み合わせと並べ方によって、最後に自分でも思ってもみないような変な感じがするという、自分の中で起こる新しい現象の発見が面白い。 そしてこの映画も、その面白さの部分を抜きにして説明してしまうと、どうしても、吹き出してしまうようなくだらなげな話、となってしまうのが実にもどかしい。 フランス映画独特の、実際はちょっとクサくてちょっとダサいのに「本当のカッコよさとはこういうものなのだ」という、妙に強気に開き直った格好のよさ(褒めている)をベースに、これまたフランス風即席へっぽこ現代アート的な組み合わせがおしゃれな、日常の陰に潜む恐怖を描いたスリラー&ホラー。 ...と、最後にこう書いてしまっては、もう元も子もないけど。 とにかく、この先どうなってしまうのか、この話は本当に今日中に終わるのかと、やきもきさせてくれる一方で、心のどこかで「別に、いつ消してもいいかな」と思える軽さが良い。 あと、この主人公の男性がうろたえる様子を見ていたら、この人が昔同じようにうろたえていた作品を思い出し、調べてみると当たっていたのでとても嬉しかった。 [Lemming] [Harry, Un Ami Qui Vous Veut Du Bien]