Ravenous
殺人、強盗、拉致、通り魔、親殺し、子殺し、自爆・・・と、聞くだけで身の毛がよだつような犯罪も、最近すっかり市民権を得てしまったので、このどれかをテーマに物語を描くにはどうもありふれすぎてしまうし、なによりもそんなものは、変に現実味がありすぎてやりきれない気分になってくるにきまっている。 さあ、そこで最後の砦になるのが食人かもしれない。これなら、あまり報じられていはいないし、とにかくなんでもありというこの世の中で、スレスレで想像の向こう側。なんといっても「食」という全くの日常と、「人を」というタブーがいっしょくたになった妙な気分にさせるのもいい。 とにかく、自分の中でそれが気持ちの悪い事なのか、ハラハラドキドキするような興味のある事なのか、どうもハッキリしない。その証拠に「食人」と聞いただけでは、犯罪なのかそうでないのか、そうなる経緯をちゃんと聞くまではすぐには答えられないというのもおかしな感じだ。 それはともあれ、劇中にダジャレとして出てくる「生きる為に食え、食う為に生きるな」という台詞がとても気に入った。それは、現実でも多くの人が普通に葛藤しているようなことだと思うのだけれど、それと、この物語の登場人物達にとっての意味が、もう少しでつながり合いそうな知恵の輪の様でとても面白い。 南北戦争の時代(?)の、山間の閉ざされた砦という時代背景と舞台に、先住民族の言い伝えとカニバリズムという組み合わせが、なかなか新しいおどろおどろしいさを醸し出している。 でもこれ、分類はホラーとなっているけれど、本当はちょっと前にはやったキツいブラックジョーク系の若者映画みたいなノリ。種類は全然違うけれど、こちらもかかる音楽が格好いい。あ、出てる人が同じだからか。 [Ravenous] [Trainspotting]