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Old Boy

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予想のつかないオチがある、ということなので楽しみにしていたら、最初から全くこちらに想像させる余地を与えないほど、ぎっちりと説明されていたので、すぐにあらかたの予測がついてしまった。ということで、そこからは知っているものをたどるように時間を過ごすしかない。普段なら、どんでん返し系の映画の結末をちょっとでも人より先に気がつくと、嬉しくなって言いふらしたりするのだけれど、これはその気にもならなかった。 だからといって、これが特に面白くなかったという訳ではなくて、宣伝で「オチは誰にも言ってはいけない」と、自信たっぷりなものだから「そうか、どれどれ」と真剣にその挑戦を受けてしまっただけ。  どこかアメリカンコミックのダークなヒーローを思わせる主人公とスピード感のある暴力シーン、あと変にねばっこく暗い画面。とにかく、どの場面も気持ちがグジグジになるまで続けるしつこさで、もうヘトヘトに。そういうのが好きな人や、年頃の人なら、目玉をひんむいたまま一気に最後まで見られるはず。 本来なら「その作品はその作品」として観ていきたいところだけど、国によって特色があるのは当たり前なので、「どの国の映画が好みだ」という話になるのは仕方がない。以前韓国の音楽番組を観た時に、そこで流すミュージックビデオが、どれも話の最初から最後まできっちりとドラマ仕立てになっていて、しかもその1カットがものすごく長い。例えば悲しい場面なら、もうたくさんというくらいその泣きっ面を拝ませられるのが面白かったのを憶えている。 それで、もしも、例えば悲劇的な場面が長いと、その分余計に心が疲れるのだとしたら、心に残したい場面は長くすれば長くするほど、見ている人の心に作用させられる、ということになるのかもしれないけれど、もしだとしても、どうかそれを毎場面毎場面ではなく、1本につき「これ」という一場面だけにしてもらえると本当に助かる。そんなに律義にしっかりと説明せず、もっといい加減でいいので、ぜひそうして欲しい。  あと、実はこれを観ていて思い出した韓国映画がもう一本あるのだけれど、それについてはもう触れたくもない。すみませんが、どうかそればっかりは勘弁して下さい。 [Old Boy]   [Lies (Gojitmal)]

Solaris

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自分の身近で起こっている出来事の原因が、実は遠く離れた一見なんの関係もないようなものだと解って、驚いて「何?これってあれのせい?」というのが一つの宇宙のイメージ。宇宙というと、鉱物とか気体とか、引力とか遠心力とか、そこは物理や科学の場所で、もう最初から最後まで無機質なはずなのだけれど、実際、感覚的にはどう受け止めているかと問うてみると、どうやらそこに生き物のような印象があることに気づく。や、別に「宇宙人が居たりして」とかいうのではなくて、その全体が。  これは、私にとって シラける俳優 の一人である彼が全く邪魔にならなかった初めての映画。現実的な現実が舞台ではなかったから、邪魔にならないというより、まさに適役だった。話についても、 よく原作や最初に作られた映画と比べての議論を見かけるけれど、これはこれで、すらっとした骨組みがあって、感覚的で、話の筋もなかなか裏をかいているという点では良かったと思う。 特に、音楽を聴かすというときの映像や場面の感じがとてもよく、その昔これと似た感じでうっとりとさせられた映画のある一場面を思い出した。 とにかく、こんな風に音楽とその場面や映像が一緒に頭に焼き付くと、次は映像なしでも同じ気分になれるのでいい。 それにしても、この監督の作品は今までことごとくアウト。まったくもってどれも苦手。どのくらいって、体が痒くなるほど。   [Solaris (2002) ] [Blue Velvet]

Bee Season

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観始めは、ある家族内の問題を描いているような雰囲気なのだけれど、実は、その家族を構成する各々の精神世界を、多種の宗教と超自然的な現象が巻き込んでゆくオカルト映画。家族の間のよくある出来事によって、当たり前の感情が生まれ、ありきたりの行動に出るわけなのだけど、その経過でだんだんと、どうやらこの延長線上に、ひょっとしたらあちら側の世界が繋がっているのかな、というおぼろげな感覚が沸いてくる。  と、どこかで読んだレビューに対抗して「これはオカルトじゃ」と、強めに書いてはみたものの、実際ファミリードラマという感触も備えてはいる。最近余りパッとしないチョボ目の2枚目夫役と、その美人妻役とのカップルがそんな先入観を与えるのかもしれないけれど、とにかく始まってみると、個々の人物の背景や状況、そしてそこに絡んでくる要素の種類とその関わり方が凝っていて、何とは一概にはいえない感じ。でも、どうしてみても、家族間の人間関係やそれについての個人的な葛藤、また社会問題が中心にはなっているわけではない。  話の全編に亙ってカバラが関係してはいるけれど、ヨーロッパを舞台にしたオカルト系歴史ミステリーの様に、常に頭の中の知識を総動員させなければいけないわけではないし、映像も今風で楽に観られる。例えば、全米スペリングコンテストの様子など、知らない国の知らない大会の様子を知ることができたりして面白かったし、所々のラリったような感覚のあの映像と音がとてもきれい、という具合にファンタジックな一面もあるといった具合。 このように、他にも様々な言葉で表せるような場面をたくさん持っていて、それが全体にうまくバラまかれている。これをまとめて「異端系ファンタジーファミリードラマ」というのはいかがでしょうか? [Bee Season]

Monster's Ball

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多くの人々に物語を解ってもらう為には、その人物の背景についてなどから、物事を順序立ててなるべく解りやすく徐々に説明していく必要がある。だから映画でももちろん、この人はこういう人物なので、この出来事に関してこんな風に感じ、そしてその結果今「怒っている」とか「泣いている」とかという風に描写されてゆくのだけれど、その説明をやり過ぎると、初めて観た映画なのに何回目かの様な気がしてくるから不思議。  現実の世界では、その瞬間に自分がおかれている状況にしても、出会った人との話にしても、いつもぶっつけ本番で、一度として同じ状況は無いし、感情に関しても「あの時こう感じた」と言葉では言い表せない感情の方が多い。だから、その人物の過去にしても、これから何が起こるかにしても、それが独特であり、しかも説明されすぎず、というバランスとれていると現実感があって面白い。  この映画も土台となる大きな話の構造の中に、そんなリアリティが言葉少なに描かれている。話の筋やそこでの感情を解らせようとすれば、だいたいはその時点で、表現が限られてしまい、元々の意味よりも少し違ってきてしまいがちだけど、そこをぐっと我慢してそうならない所がうまかった。 とにかく、劇中のいくつかの事件に関しても、人の感情の変化にしても、その都度くどい説明は無く、ただ起こり、過ぎて、言葉や表情、その人物の行動でこちらに判断させるという感じ。 少し前までは、名の知れた俳優の出るハリウッド映画というと、そのスターがスターであるが為の様で、ちょっと退屈なものが多かったけれど、最近は良い意味で「こんなのありか?」という、まるで、新しいセンスを持つ若い誰かが、ショービズのベテラン達を従えて自分のセンスにまかせて好き勝手に作った様な映画を見かける様になった気がする。  音楽もそうだけれど、最近ではアンダーグラウンドシーンに何か新しいものがうまれると、その埋もれている時間がまだわずかうちに、商売人が発掘しメジャーとして広げるので、 地獄とこの世がつながったような妙な世界 になってきている。ということは、そこの角の映画館や、DVDレンタルのニューリリースの棚で、けっこう面白い作品と出会える可能性が高いということなので、もちろん大歓迎。  それにしても、この日本向けタイトルとパッケージには脱力。しかもロマンスに...

Monsieur Batignole

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テレビの宣伝や雑誌の広告、ポスター、そしてDVDのカバーを目にして「あ、これは今の気分にきっとぴったり」と思って観てみると、実際はそれらの広告が放っている印象と全く違う映画であることがたまにある。 例えば、最初から「シリアスなヒューマンドラマだ」とがっちり信じきって観はじめて、途中「なんか変だぞ」と感じつつも、それを頭のどこかに隠しながら、中盤を過ぎたところで「・・・アクションでありましたか」と、目の前の現実を完全に認識したその瞬間の、怒りと悔しさ、そしてなぜか恥しさが入り交じった様な独特な感覚。そして、どこからか「誤解した方が悪い」と聞こえ、「またも、商売人にしてやられたか」と思う。 幸いにも今回はその逆で、最初に作品を観てから、DVDのカバーを見て「うそだ。ぜんぜんこんな雰囲気の映画じゃなかったぞ」というのが左のイメージ。へた字クレパスで「バティニョールおじさん」と楽しげなタイトル。で、パリのアパルトマンの天窓からおじさんが子供をささえてる様子。これではまるで、これからチンチロリンなフレンチコメディがはじまるみたいだ。はっきりいってこれは詐欺。 それで、試しにアメリカやカナダで売られているものと、ヨーロッパで売られているものを探してみると、それぞれが違う場面を使っているので面白い。主人公一行が手をつないで野原を楽しげに歩いているのがアメリカ版、そして、ちょっとシリアスな面持ちで旅券か何かを持って旅をしているのが、この記事の一番上のフランス版。 だけど、実際のイメージは「フランス版とアメリカ版の真ん中辺りで、ちょっとフランス版寄り」という感じ。 舞台はナチが台頭し始めたパリから始まって・・・、というと「ふーん」位に思うけれども、これが人情ものかと思いきや、ドタバタあり、ニヤリとさせられるブラックユーモアあり、そして、決して軽くないテーマなのにも関わらず、暗い雰囲気に支配されることもなく、スイスイと観ることができる。そして、その常に安定した話の構成にどんどんと引き込まれてゆく。 その時の社会の状況というものが、登場する全ての人物の中ですでに日常として肯定されていて、まるでただその時代の当たり前の一人生のように描かれている。とにかく、登場するそれぞれの人物について、その個性や背景を感じることができる。だから、タイトルだって「バティニョールさん」というの...